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第13回 大下 大圓 (本学会理事・個人情報保護委員会委員長)

『パンデミックの状況下における情報の選択と英知』

1)新型コロナウイルスとスピリチュアルペイン

 2019年12月に中国・武漢を発生源とする新型コロナウイルスによる感染症は、WHOにより正式にCOVID-19と命名され、 瞬く間にパンデミックな状況下となって、中国からアジア、ヨーロッパ、アメリカへと全世界に拡大しました。ジョンズ・ホプキンス大学が集計している国や地域のデータによれば、世界の感染者数は1月11日午後6時時点において3億1050.4万人で、関連死者は551,9万人いる。直近で米国に次いで深刻な状況に陥っているのが欧州で、直近4週間の感染者数はフランスが393.7万人、英国377.4万人、イタリア231.6万人、スペイン211.7万人、ドイツ103.7万人などで、日本は1,091,691人という報告があります。(COVID-19 Map – Johns Hopkins Coronavirus Resource Center (jhu.edu))

厚生労働省の報告では、2020年1月12日現在で感染者総数は1,783,838人で、関連死者数は18,404人となっています。(https://covid19.mhlw.go.jp/

 世界各国との対比で、日本の感染者が少ないことは有難いことですが、コロナ禍によるパンデミックな反応は、多くの人々の生活スタイルを変容させ、そしてこころの痛みやスピリチュアルペインを生じていることは否めません。

2)コロナ禍でのストレス反応と課題

 近年、対人援助職やケア従事者のストレスコーピングが重要になっています。COVID-19の患者対応だけでなく、普段から 医療現場などストレスフルな環境で職務を遂行していことは、多くの職務上のジレンマやストレスを抱えることにつながります。ストレスフルからバーンアウト(燃え尽き症候群)と呼ばれるようになりました。 バーンナウトは、主に仕事に関する慢性的な感情的および対人的ストレス要因に対する長期的な反応であり、 アメリカの心理社会学者のマスラーク(Maslach, C.)は、 バーンナウトの3つの大きな症状として「①情緒の枯渇、 ②脱人格化、③個人的達成感の低下」を挙げています。 定義としては「長期にわたり人を援助する過程で、心的 エネルギーが絶えず過大に要求された結果として生ずる、 極度の心身の疲労と感情の枯渇を主とした症候群であり、 自己卑下、仕事嫌悪、人への思いやりの喪失状態がみら れるもの」としています。(土居健郎ほか:燃えつき症候群1988) 

 COVID-19から生じるストレス反応について、兵庫県こころのケアセンター加藤寛は大きく3つに分類しています。1つは「感染リスクおよび感染そのものが引き起こす心理的反応」です。不安と恐怖が主なものになりますが、その内容は多様です。2つ目は「環境の変化が引き起こす問題です。隔離や行動制限がもたらすストレス反応、経済的打撃から生じうるうつ病や自殺の増加、家族の密集性が高まった負の影響として生じる暴力や虐待の増加、休校によって生じる学業の遅れやネット依存の問題、活動が制限されるために起こる高齢者の認知機能の衰え、など感染終息後も影響を残す可能性がある問題が生じることへの危惧」です。 3つ目は「情報が引き起こす問題」です。感染症専門家あるいは「感染症に詳しい人」が、テレビで話す内容は、扇情的であったり逆に楽観的であったりで、不信と混乱を招きます。さらにネットやSNS上には、感染した人の個人情報と誹謗中傷、生活用品の不足を煽るデマなどが溢れています。また、政治家や為政者が話す内容は、断片的で不安を消息させるにはほど遠いことが多く、却って批判と不信を招くことが多いようです。(一般社団法人日本トラウマテック・ストレス学会、災害対応委員会委員長、https://www.jstss.org/ptsd/covid-19/page01.html

3)オミクロン株に関する報道と情報の確認

 前述の加藤氏が指摘する「感染症専門家あるいは感染症に詳しいが、テレビで話す内容は、扇情的であったり逆に楽観的であったりで、不信と混乱を招く」というように、我々が普段TVなどで多くの情報を受け取ります。一方でTVとは違った報道を、SNS,スマートホンやインターネットでTV報道とは異なった情報を手に入れることができます。自宅にいる高齢者はそのほとんどの情報をTVや新聞に頼ることが多いために、その報道を疑うことなく、信じ切っているのが実情です。同じ内容を繰り返し繰り返し一方向的に受けとることは、マインドコントロール化されてしまうことも多いのです。
 ところがTVなどとは異なったCOVID-19に関する情報を見ることによって、「真実はどこにあるか」と思わざることも少なくありません。

 筆者の友人で、海外の特に戦争被災地での活動をしている精神科医の桑山紀彦氏は自身のSNSで、コロナ報道の在り方に疑問を提示し、特にオミクロン株について「現状は「冬に流行る風邪の一つをこまめに数え上げてあたふたしている…。」そんな状況に見えてならない。2019年のインフルエンザは感染者数730万人、死者数1万人をその1年間で出している。この事実は全く顧みられることなく、軽症化の道を選んだ新型コロナをあくまで「敵視」している。見知らぬもの、未知なるものに対して不安を抱くのは人間の本性であろうけれど、そろそろ冷静に、賢くなろうよ、と思う。この視点はいつまでたっても外国人を積極的には受け入れようとしないこの国の国民性に通じるものがある。」と批判しています。(桑山紀彦、FBより)
他の研究者や医師からも3年目を迎える「コロナ騒動と報道の在り方」に、異論を述べる内容もありますが、ここではその多くを取り上げることは紙面に都合で渇愛します。現実的に、このような反論はTVなどマスコミではほとんど報道されないことも不思議な情報事情です。

 大阪市立大学医学部名誉教授の井上正康氏は、オミクロン株に限って言えば「喉の粘膜に付着して肺までは届かないので、腸管や肺などに多いACE2受容体と結合して血栓症を起こすことはほぼない」と主張し、政府に対して2021年10月に意見書を下記の如く提出しています。「①新型コロナウイルスワクチンの未成年者に対する接種の勧奨を中止すること②ワクチンによる死亡例や重篤な副反応情報の収集・分析ができる体制やシステムを構築すること、③接種に対する重要な判断材料となる接種後の死亡例や重篤な副反応事例などの情報が国民に届くよう周知すること、④ワクチン副反応や後遺症などに苦しむ患者が相談できる窓口、治療法など医療体制の構築を推進すること、⑤副反応疑い報告の事例に対し、死因の究明や調査検証のための体制構築と、実態の公表、副反応被害者及び遺族の救済を早急かつ誠実に行うこと、⑥重症化予防はワクチン接種ばかりを推進するのではなく、生活習慣改善による免疫力向上を予防基本対策とした施策や情報発信を強化し、効果が報告されている予防・治療法(ビタミンC、D、亜鉛、ヘスペリジンなどの栄養療法や漢方、イベルメクチンなど)を偽情報とせずに公表し、発症初期からあらゆる医療知見を活かした治療を推進することで、一刻も早く可能な限り多くの国民の命を救うこと」(井上正康氏HP: https://www.inouemasayasu.net/)

 世界的なパンデミック騒動の背後にどのような政治的、戦略的意図が潜んでいるのかは不明です。しかし、現代人はさまざまな情報を知ることができる立場であるが故に、さまざまな情報を正しく吟味して正邪善悪をわきまえる英知を獲得していかねばなりません。そして個々のスピリチュアリティや個々人の宗教性(霊性・神性・仏性)を発揮して、艱難辛苦を乗り越えるワザを養うことが肝要です。