前代表理事挨拶:法人化がスタートして

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  • 法人化がスタートして

    会員の皆様

    日本スピリチュアルケア学会は、日野原重明先生と高木慶子先生のご尽力と協力者によって、2007年に創設されました。人間の精神性を高め、人間の尊厳と品格に気付き、尊び学びあう機会を多くの人々と共有したいとの思いが強くありました。

    私自身は、精神科医、ホスピス医として、体の痛み、心の痛み、社会的な痛み、たましいの痛みをもつ多くの患者さんに接してきて、患者さんを「トータルに」「全人的に」視ることの大切さを学びました。特に、ホスピスという場で2500名の患者さんを看取った経験から感じたことは、多くの患者さんが「たましいの痛み」を持たれるということです。ある中年の女性患者は「こんなに苦しいのはバチがあたったのでしょうか」と言われました。バチというのは、たましいにあたると思いました。スピリチュアルケアが必要と思いました。ホスピスチームの一員であるチャプレンに助力をお願いしました。チャプレンの傾聴と牧会的ケアで、患者は次第に落ち着き、洗礼を受けました。2週間後に静かに旅立ちました。

    ホスピスでは様々なスピリチュアルペインに遭遇します。答えがない質問、あるいは答えられない質問がスピリチュアルペインを持っておられる人達の質問の共通的特徴です。徹底的な傾聴が唯一こちらにできることである場合もあります。

    日本スピリチュアルケア学会にとって、2020年は特別な年になりました。任意団体であった学会が2020年3月27日、一般社団法人日本スピリチュアルケア学会として、認められたのです。会員の選挙によって代議員が決まり、代議員の選挙により理事が、理事の選挙により理事長その他の役職者が決まりました。学会の法人化はスタートして13年目におとずれた大きな変化だと思います。会員お一人お一人のたゆまざる努力の結果と感謝いたしております。

    法人化されたということは、それだけ、社会に対する責任が重くなったということです。学会の働きの方向性として、これまで以上に、「社会のために」という視点を重視していくことが大切であると思います。具体的には、これまで以上にスピリチュアルケア師の養成に力を注ぐ必要があると思います。

    「COVID-19」の勢いが収まらない日本において、多様性と独自性がある日本らしいスピリチュアルケアの発展を目指して、みんなで努力をしていきたいと願っています。

    (一社)日本スピリチュアルケア学会
    理事長 柏木 哲夫

    参考:前代表理事挨拶:法人化がスタートして

    参考:新型コロナウイルス感染のお見舞い

    参考:旧学会 理事長挨拶