一般社団法人日本スピリチュアルケア学会は、2023年7月2日の臨時代議員総会において、2017年5月に聖路加国際病院で発生した性加害事件の加害者となった本学会会員の除名処分を決議いたしました。この件に関わり、本学会会員の社会発信によって二次被害を受けたとの訴えがあり、本学会ではこの件について2023年2月に臨時委員会を設け、継続して検討してまいりました。

　この事件が新聞等で公表された2018年9月直後に、何人かの本学会会員が、処分を受けた元会員を擁護しようとする集まりに加わり、被害を受けた方に非があるとも読み取れるような文書の公表に関与し、そのことが複数のメディアに掲載されていた事実が確認されました。またこの件に関わって、加害者には非がなかったと考えているように受け取られる、会員からの発信もなされていました。

　こうした本学会会員の行なった社会発信によって、被害を受けた方が新たな非難の眼差しに晒されることとなり、二次被害を被ったと感じられるような事態を招いてしまいました。人権侵害に通じうるこのような社会発信は、スピリチュアルケアを学び、その啓発に努める本学会の会員としてあってはならないことです。

　会員の社会発信によって、被害を受けた方をさらに苦しめるような結果を生じさせましたことについて、本学会は会員に対する倫理教育の不十分さに責任があると認識しております。被害を受けた方に学会として深くお詫びを申し上げますとともに、今後、倫理教育について検討し直し、その内容を適切に改善していく所存です。

　本学会はこれを機会に、関与者に被害を及ぼすようなことがけっして起こらぬよう、スピリチュアルケアそのものの質とともに、社会発信の質を高めていくことができるように、ともに学びを深めていくべく、歩みを進めてまいります。

2023年11月28日

一般社団法人日本スピリチュアルケア学会
理事長　島薗進