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第2回 小木曽 優子(臨床スピリチュアルケア師)

ホスピス病棟ボランティア
小木曽 優子
(臨床スピリチュアルケア師)

 

 未だ猛威を振るう新型コロナの禍中で、私は今まで感じたことのない生活環境で生きています。人との距離を意識し三密を避けての日常生活。毎日が思い通りにならないことばかりです。しかし、その反面、人はひとりで生きてはいないことや、人と人とが触れ合う温かなコミュニケーションの大事さに気づかされます。

 このような中、私は臨床スピリチュアルケア師の資格更新審査を受け、暫定資格から切り替わり、「臨床スピリチュアルケア師」として正式に認められました。この資格更新審査は、私にとって今までの学びの復習、総まとめとして捉えていました。しかし、課題著書を熟読するうちに新たなる気づきを得、さらにホスピスで訪問させていただいた患者さん個々との関りが思い返され、復習や総まとめというよりも自省とともに実り多い時間となりました。

 私がホスピスボランティアを始めたきっかけは、20年前、45歳でガンに侵され、闘病の末亡くなった弟の傍らに居た体験からです。この時、患者さんの傍らに居て「寄り添い」話を「聴く存在」の大切さを知りました。そして、家族ではなく第三者という立場だからこそできる働きがあるのではないか、いや必要ではないかと思ったのです。聴く存在になりたい。私はもっと自分を見つめ磨き向上させたいとの思いから「臨床パストラル教育研究センター」(以下パストラル)の門を叩きました。パストラルでの学びは、他者へ何か働きかけることよりも、まず、「自分を知ること」からでした。したがって、共に学び合う仲間は自分を知ってもらえる、自分に耳を傾けてもらえる相手となり、ケアされる立場という大事な経験をしました。臨床パストラルカウンセラーとしての全ての研修を終え、そして、いま、日本スピリチュアルケア学会へと繋がり、私の学びはさら拡がっています。

 ところが、臨床の現場では、昨年からの度重なる緊急事態宣言でホスピス病棟におけるボランティア活動はなくなり、緊急事態宣言のわずかな合間をぬって患者さんへ届ける季節のメッセージカード等を病棟外で作成している状況です。スピリチュアルケアを実践できない何とももどかしい思いでおります。

 いま人の生死により敏感になって、生きていること、死んでいくことの意味をさらに自分に問いかける時になっているかと思われます。自分は何ものであるか?
よい意味で、自分を見つめ直す時ととらえて、じゅうぶんに、自分の個性、特性、また、足らないところ、変えたいところ、を掘り下げていく作業ができるのではと、私自身は思っています。こころから愛をこめ他の人へやさしく触れる眼差し、立ち振る舞い。まだまだ、私の研修は続きます。この学びへと気付かせてくれ学ばせてくれた亡き弟へ感謝とともに私は生涯学び続けたいと思います。