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第26回 浅田 紘祐子(本学会会員・浅田クリニック)

クリニックに瞑想ルームを作って

 いつも自他のケアを学び実践なさっている皆さま、お疲れ様です。

 

 私は大阪本町にクリニックを開業して30年、多くの方のお陰と偶然の恵みを得て、コロナ元年(2020年8月)にハイパーサーミア温熱療法(保険適用がん治療)をスタートさせました。同時に、クリニック内に瞑想ルームを設けることができました。あぶり出しの絵のように、気が付けばあれよあれよという間に小さなピースが繋がって形が出来上がっていきました。予期せず望みが叶うことになり、何とも有難く不思議な感じさえしました。

 さて、日本には、“病を得て…”という言い方があります。その言葉さながら、厳しい病状の中で人生に光を見つけていかれる患者さんがおられます。それに気付いた時、医療者側が人への信頼感やエネルギーを沢山頂きます。その力を借りて、クリニックの瞑想ルームで毎月60分のプチ瞑想会と、臨床瞑想法基礎編を開催しています。ビジネス街の真ん中で、ひっそりとマインドフルな体験をしていただきます。瞑想という古来よりの生きる智慧の戸口にご案内させていただき、お出会いする方と共に豊かな人生を広げていける道半ばにいられることを幸運に思います。

 そんなクリニックの外来では、毎日患者さんと色々なお話をします。患者さんの「分かっちゃいるけど...とは言え...」という理性と心情のギャップに悩む声が聞こえてきます。「とは言え...」に続く言葉を受け取ることがクリニックでのメンタルケアとなっています。

 「で、どうしたいの?」と患者に問いかける度に、私自身への問いかけも繰り返されます。患者さんに笑顔が増えてきた時、自分の人生を自分自身で引き受けていく肚が据わってきたサインです。

 では、私自身はどんな顔になっているのか?それを教えてくれ、励ましてくれるのは、いつもスピリチュアルケアを共に学ぶあなたでした。本当に有難うございます。

 これからも皆様と繋がりながら研鑽して参ります。どうぞ宜しくお願いします。(了)